マイナスがプラスとなる

 

真っ直ぐに大きく伸びた木は、
材木としてすぐに役立つから、
切り倒される。
でも、曲がった木は、
使いものにならないと
思われるから、
巨木になるまで成長する。

衣服はぼろぼろになるから
新しいものと取り換えられ、
窪んだところには自然と水が
溜まってくる。

このようにマイナスだと思った
ことがプラスに転化するという
ことは、世の中にはたくさんある
ことだ。
人間だって、欲が少なければ
満足度は高いし、
知識がありすぎると、かえって
迷うものだ。

だから、
無為自然をわきまえている聖人は、
“俺が俺が”と前に出ないで、
つねに控えめな姿でいる。
すると、かえって目立つ存在と
なり、いまだ未熟だと謙虚に
振る舞うのでかえって信頼される。

そんな人は功績を自慢しないし、
他人を見下すこともないので、
いつしか尊敬され、
知らないうちに自然と人の上に
いる。

また、こういう人は人と争う
ことがない。
いや、誰彼も愛されているので
敵対する者がいないのだ。
曲がった木は寿命を全うする
といったが人生も同じだね。

いつも腰を曲げて謙虚に生きて
いる人は、
かえって尊敬され、信頼され、
天寿を全うできるのだ。

（引用元：『老子』より）

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