一匹の人間が持っているだけの精力を、一事に傾注すると、実際、不可能な事はなくなるかも知れない。
武士はいざという時には飽食はしない。しかしまた空腹で大切な事に取り掛かることもない。
私は学殖なきを憂うる常識なきを憂えない。天下は常識に富める人の多きに堪えない。
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日の光を借りて照る、大いなる月であるよりも、自ら光を放つ小さな灯火でありなさい。
己の感情は己の感情である。己の思想も己の思想である。天下に一人のそれを理解してくれなくたって、己はそれに安じなくてはならない。
人に言うべき事は最後まできちんと言うがよい。全部は言いたくないことだったら、むしろ初めから黙っていよ。
一々のことばを、はかりの皿に載せるような事をせずに、なんでも言いたい事を言うのは、われわれ青年の特権だね。
打ち明け過ぐるも悪しく、物隠すように見ゆるも悪しきなり。
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開いている扉があったら足を容れよう。扉が閉じられていたら通り過ぎよう。
世間の人は虎を性欲の虎を放し飼いにしてどうかするとその背に乗って逃亡の谷に落ちる。
善とは、家畜の群れのような人間と去就を同じうする道にすぎない。それを破ろうとするのは悪だ。
みんなが誉めるのは、おべっかである。六割が誉めて四割がけなすのが人材である。
苦難が大きすぎて、自分ひとりの力で支え切れない場合には、家族から身を隠して一人で泣きなさい。そして、苦悩を涙とともに洗い流したら、頭をあげて胸を張り、家族を激励するために家に戻りなさい。
現在は過去と未来との間に、画した一線である。この線の上に生活がなくては、生活はどこにもないのである。
足ることを知ることこそが、幸福である。
女はどんな正直な女でもその時心に持っている事を隠して外(ほか)の事を言うのを男ほど苦にはしない。
私は学殖なきを憂うる。常識なきを憂えない。天下は常識に富める人の多きに堪えない。
学校というものを離れて職業にありつくと、その職業を成し遂げてしまおうとする。その先には生活があるとおもうのである。そして、その先には生活はないのである。
恋愛もなければ、係恋もない。いったいこんな閲歴が生活であろうか。どうもそうは思われない。真の充実した生活では確かにない。
心理学が思量から意思へ、意思から衝動へ、衝動からそれ以下への心的作用へと、次第に深く穿っていく。そして、それが倫理を変化させる。
罵言は世間のために風俗を矯る利あるべく、一身のために信用を長ずる益あるべし。