五木寛之(いつきひろゆき)
1932年9月30日生まれ
小説家、作詞家、評論家、エッセイスト
人間これという一つに打ちこんだら、驚くほどのことができる。
人間の値打ちというのはどこにあるのでしょうか。それは、ほかに似た人がいないということです。
登山というのは、登るだけではない。無事に下山するまでが登山なのです。
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さびしさをごまかそうとかしてはならない。自分を欺いたりしないで、そのさびしさをまっすぐに見つめ、その自分の心に忠実にしたがえばよい。
人生の目的は、「自分の人生の目的」を探すことである。
人間は誰でも自分がいちばん大切なのです。そして、そのことをほんとうに自覚した人間だけが、自然なかたちで他人を大切に思うことができる。
結局、使う人と使われる人というのは立場のちがいだけなんですよ。差別ではないんですね。考えてみると、使われる人がプロ意識をもって、ちゃんと存在するほうがいいんだ。
「明日はわからない」ということをわかっているだけでも違う。震災だろうと、経済的危機だろうと、何も考えていない人よりも50%は有利というか、より的確な判断ができるようになるでしょう。
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楽しいことは長続きする。好きなことは長続きする。気持ちのいいことは長続きする。そうでないことは、どんなに強制されても結局は続かない。
私たちは死ぬときは、ただひとりで逝く。恋人や、家族や、親友がいたとしても、一緒に死ぬわけではない。人は支えあって生きるものだが、最後は結局ひとりで死ぬのだ。
大事なことは何か。なにごとによらず、一つずつの行為を十分にあじわいながら、その一瞬を大切に過ごすこと。それがいま、特に大切に思われてならないことなのです。
天才的な素質をもちながら、世の出ず無名のままに埋もれた人は、いくらでもいる。
音楽はすでにあるけど、彼自身の音楽は誰も用意しちゃくれないんだ。自分でそれを発見する以外に方法はないのさ。
私たちは、まず、自己を肯定するところから出発したほうがいいようです。自己を肯定し、自己を認めてやり、自己をはげまし、よろこばせること。それが必要ではないか。
もしも盗むとしたら、ここにある絵のなかでどれを盗むかということを本気で考えながら絵を見ると、とっても真剣になれる。
風が吹かないとヨットが進まないように、人間も「やろう」としたことのすべてを自分の力でやっているわけじゃなくてね。目には見えない大きな力で動かされている。
私たちは、人間にとって自由になることとならないことがある、ということを受け入れなければなりません。
一日に一回、どんなことがあってもよろこぶ。そう決心しました。
私は人間たちに、成功した人生、ほどほどの一生、あるいは失敗した駄目な生涯、というふうに、区分けをすることに疑問をもつようになりました。
世の中に、自分で試してみないでわかることなんか、ひとつも無い。
三年で古びるものでなければ、三十年後によみがえらないっていう意見なんです。つまり、古くならないものは再生しないし、けっして新しくならない。塩野:なるほどねえ。三年たったら古く感じられるくらい時代と密着しなければ、三十年後にいきいきと感じられないっていうこと。
思想、アイデア、学問、文化。これからの日本はそうしたもので世界をリードしていけばいい。人口は少なくてもいい。経済大国になる必要もないと私は思っています。
自分自身を囃(はや)し自分自身に相づちを上手に打てるようになったとき、私たちは孤独のなかでも明るく、いきいきした表情で暮らすことができるようになるかもしれない。